よくあるトラブル全部盛り
朝6時。前日の約束通り宿を出発し、クズロルダに出発です。約430㎞の道のり!頑張っていきましょう。
正直集合時間には全く期待していませんでしたがちゃんと時間を守るお2人でした。5時45分に隣の部屋からシャワー浴びる音が聞こえてきたときには絶対無理だろと思いましたがなんとか間に合わせたようです。
というわけで乗用車の助手席に乗せてもらい、時間通りに出発!
ジェズカズガンの町を出てすぐの場所に抑留者だと思われるモニュメントが見えました。写真は撮れませんでしたけど。
F氏がまたもメールを送ってくれていたのですがそのメールを昨日例の迎撃レストランで見て時間が無くて断念した場所です。ここにも以前強制収容所があったそうですが囚人たちによる反乱が起き、解放区として囚人たちによって自治されていた場所でもあるそうです。車で通った場所は収容所の跡地近辺と思われる場所で、もちろんこの場で車を停めてもらうわけにはいかないので集中して眺めました。
何もないただまっすぐの道。たまーに牛がいたり、ほんとにごく稀に家が建ってたり。出発してわりとすぐこの家でトイレ休憩をしました。なんだかステップ地帯に似合わずピンクに塗られてファンシーな外観。道も気づいたらいつの間にか砂利道になってました。
ずっとこんな道が続く中にぽつぽつあるショベルカー。一体何の作業か、というよりもこの作業場に来るだけでかなりの時間を要しそう。
朝9時前、エルダーは順調に車をかっ飛ばしていましたがここで車がパンクしました。
でかい石を探してこい!と指示されうろつき回るもでかい石なんてない…しかも草原に一歩足を踏み入れたらチクリとして、足を戻したら親指にたくさん棘が。マンガみたい。全部抜いてしょうがないから中くらいの石をかき集めて渡すももういらないと言われる。どうやらジャッキの下に置きたかったみたいだけど、ないものはないので仕方ないです。エルダーと私でなんとかして、グルダーナはアリムくんをあやすのにいっぱいいっぱいでした。先が思いやられる…。
無事タイヤ交換をして出発。走ってる感覚がおかしいのかエルダーは常にサイドミラーを気にしてみたり、私に窓から顔を出させてタイヤがちゃんとはまっているか確認させます。ちなみに先ほどの写真通り舗装は全くされてないのですがこの車は窓を全開にして走っています。1台で走っていればいいですが、対向車が来ても、後ろから爆走で追い抜かしていく車が来ても窓は閉めないのでみんな窓から入ってくる土を受けて走り続けます。
砂利道がもう平ですらないです。ひっくりかえるかと思う時も何度かありました。道路自体は直線だし、オートマだったら私が運転してやりたかったくらい運転手の腕が…なんでもないです。
最初こそ順調にかっとばしていたものの、パンク以降時速30㎞くらいかなりのゆっくり運転です。そんなに取り替えたタイヤがだめなのかな?と思ってエルダーの顔を見てみると…え、なんか目すっごい細くない??さっきからこんなに細かった???
このあほみたいに荒れていてまったく落ち着かない道路でこいつ寝るんじゃないかとかなり焦りましたがどうやらただまぶしかっただけみたいです。寝たら車の揺れに身を任せて肘打ちしようかと思いましたが、被害者が出なくて良かったです。
にしたってずいぶんスピード出さないな~と思っていたら、後ろから来て我々を追い抜かして行った車にぴったりくっつきクラクションを鳴らし始めました。いま流行りの煽り運転はカザフスタンにまで及んでいるのかとちょっとびっくりしましたがその後車は並走をはじめ何やら2台の運転手で喋っています。相手の車が停まってくれたのでこちらも停車し、エルダーが降りて話に言ってました。何もせずに戻ってきたので「もしかしてあまりにも直線で暇だからちょっとご挨拶しただけ?」と思いましたが今度は後ろからやってきたトラックにも同じようなことをまた始めました。一体なんのためなのかと思ったら今度はガソリンボトルを両手にニコニコで戻ってきたエルダー。あなた、430㎞の道を走るってのにガソリン入れないで町を出たんですか?
この時に私は乗車代をグルダーナに払い、そのお金でガソリンを購入。速さをとるために乗用車に乗ることを決めましたが、やっぱり安心安全をとってバスに乗れば良かったかも…とこの時思い始めました。だってパンクは仕方ないけどこの荒野でガス欠は死にますよ。JAFを待ってる間に餓死します、というかこんな場所だとJAFにすら見放されるかもしれません。ところでカザフスタンってJAFありますか?
ガソリン満タン、すっかり気をよくしたエルダーは突然道を外れ獣道を走りはじめました。
獣道といっていいのか、こちらは砂利じゃなく砂なのでかなり走りやすいです。この道で、先ほどの砂利道を指さし「カザフスタ~ン!!」と叫び親指を下げ、獣道を指さし「ジャパーン!!ヒュー!!」とグッドしながら走ってました。私からしたらどっちもカザフスタン。
獣道は一応砂利道と並行してありますが、延々続いているわけではなくってすぐ砂利道に戻ってしまいます。でもちょっと走るとまた獣道が見え始めるので、それが見えると道路を外れ草原をつっきり獣道に戻ります。なんとも落ち着かない時間。
そうこうしているうちにここでやっと初めて?の看板。クズロルダまであと210㎞。ちょうど半分です。
今日の写真、すべて同じすぎて載せてて意味があるのか不安になってきます。草原と青空は一緒、道路のクオリティが微妙に変わってます。別に間違い探しを挑んでるわけではないです。
そうこうしてるうちに大型バスに追い抜かされていきました。バスものすごいかっとばしてたけど、あれクズロルダ行きだったかなあ。ちんたら走ったりタイヤ交換してる間に追いつかれたでしょうか。2時間も早く出たのに。なんかすごく落ち込んできます。誰を責めれるわけではないけれど。
というわけで気を取り直してお昼。ベシュパルマクというそうです。私これ食べてみたかったので嬉しい!ベシュバルマクは5本の指を使って食べる、という意味だそうでまあスプーンフォーク使わないならだいたい5本の指で食べますよねって思いながら食べました。スプーンで。っていうかベシュバルマクってスープだっけ…?
クッキーやお菓子やパンもたくさん食べて、チャイやコーラも一杯飲んですっかり回復です。再出発する前におトイレ寄りましょう。
トイレ
良いトイレです。食堂、というか家は写真を撮ってる私の裏にあり、トイレの入り口は小屋の向こう側。トイレ行ったらなかなかドアが閉まらなくってですね、どうせここに住んでるおじいちゃんおばあちゃんと、エルダー一行しかいないのでいいやと思ってドアをあけ放ったままトイレしました。
ここまで解放感を感じたトイレは人生初めてです。トイレからの眺め。き、気持ちい。
さて再出発。なんか免許持ってないと思われますが、あまりにも直線道路なのでふざけてグルダーナが運転を始めました。いい加減にしてくれこの夫婦…。結局彼女が30分くらい運転してました。グルダーナは穴ぼこ避けれないのでなかなか激しい運転でしたが最後にはお上手になってました。
景色が砂漠に近づいてきた!ウズベキスタンはもうすぐか!
と、ここでエルダーがまた運転を再開し、はじまりました時速20㎞走行。今度は何…と思ったらエンジントラブルのようでボンネットを開け始めました。
車を停めては私がエンジンをつけたり切ったりして、エルダーがボンネットをいじって直すというようなやりとりを5回くらいやりました。その間ずっとグルダーナは後ろでお昼寝。
大型バスに追いつく。奴らもパンクをやらかしたようです。そして気付いたら舗装路に戻ってました。
どうやらこのバスはクズロルダの更に先のウズベキスタンとの国境近くにあるシムケント行のバスだそうです。何時発だったのかな。まあクズロルダ行のバスに抜かされなければ私は何でもいいです。結局バスを選んだところだってトラブルに遭っていたでしょうこんな道では。まあガス欠パンクエンジントラブル全部はやりすぎだと思いますけど。
ついに到着クズロルダ!
ヌルスルタン以外にも金使ったほうが良いと思いますこの国。まじで。っていうか不満爆発しないんでしょうかね。
で、エルダーご夫妻は宿を予約してないみたいで、どっか一緒に泊まろうよと声をかけてくれました。私は昨日の迎撃レストランで宿を予約したので、そこにツインあるかもしれないから一緒に行こうよと声をかけその住所に向かうも宿はありませんでした。エルダー達は他のホステル探すわと言いましたが、私は予約しちゃってるしキャンセル無料とかではなかったのでここで車を降ろしてもらいお別れ。お礼を言ってバイバイしました。色々あったけど良い人たちだったな。
あの二人はたいして真剣に宿を探さなかったので、私は歩いて探せばすぐ見つかるだろうとたかをくくっていました、が、結果予約した宿はありませんでした。
近隣住民に聞き込み、立ち上がったら私よりでかそうな妙に血気盛んな飼い犬に襲われそうになりながらいろんな人に聞いて歩き、いつも通りあっちだこっちだ言われたどり着いたところは元の地図からだいぶ離れた場所。バス停でおばちゃんたちが井戸端会議をしていたので聞いてみたらそんなのねーよっつって、でも宿に電話かけてくれたのですが繋がらず、おばちゃん達は通りすがりの警官にも聞いてくれましたがそれでもわかりませんでした。
時刻は4時。クズロルダは今まできた中で一番人けのない静かな町で暗くなったらちょっと怖そうな気もしました。ネットは繋げませんが、見たときは私の予約した宿以外は結構高かった気がする…というわけでもう、クズロルダは何があるかわかんないし夜行列車で次の町に行っちゃおうと思い立ちました。
駅までの道を歩く。道路に穴があくイメージNo.1の国は中国ですが、実際に道路に穴が空いている国々はカザフスタンとキルギスです。写真はまだまし、謎だったから撮っただけです。
5階建ての建物を曲がればあなたの宿あるかも、と教えてくれましたがこれがその目印の建物。廃墟かと思ってましたが近づいたら現役でしたごめんなさい。
駅までちんたら歩き相当疲れました。気付けば着ていた黒いTシャツもトランクにいれていたバックパックも砂埃で真っ白です。さて…駅に到着しましたが、ここから日をまたぐ話になりますので翌日の日記に続きます。
そうか、この日私はガス欠パンクエンジントラブルだけではなくて宿がないというトラブルまで与えられてたんですね。でも越えられない試練ではなかった。うひひ。