監視社会ウルムチで罪を犯す

さて、本日はトルファンから新疆ウイグル自治区省都ウルムチへ移動します。特にこれといって見どころはないと思うんですが、トルファンから一気にカシュガルに行くのもアレだし、トルファンから割と近いので寄ってみた次第です。

 

宿からトルファン北駅までは早朝でしたのでバスが動いてなく、かといって15㎞近くあったので泣く泣くタクシーで行きました。トルファン北駅ーウルムチ南駅は約1時間の電車旅ですが、トルファン中心部からウルムチまでバスで3時間ほどでも行けるみたいです。トルファン北駅は中心部から離れているので、駅までタクシー乗るくらいなら多少時間かかっても中心部から出ているバスで向かったほうが良かったかなと早速後悔しました。

トルファン駅に入るのも何度も身分証チェックと荷物検査を経て一苦労です、って思ったけど、この駅でも身分証チェックと荷物検査は中国全土一緒でした。なんか気苦労したと思ったけどたぶん毎度のことですこれは。

トルファンからウルムチへ向かう人はほとんどがウイグル人です。最近は長距離移動が続いていたので1時間はあっという間で、何やらアナウンスが流れたときに隣に座った女性にウルムチ南駅って次とまる?と確認しそうだというので「ラフメット」というとツンとしていた女性がにっこり笑ってくれました。ラフメットはウイグル語でありがとうです。昨日宿の人に教えてもらいました。

結構一緒にいた人たちみんな、謝謝~っていうのですがどうもそう言うのに抵抗がありまして…だってトルファンにいた人たちも電車に乗ってる人たちも顔が中国人じゃないんだもん。ちなみにトルファンで一緒にいたベトナム人曰く、ウイグル人公安はみんな訛っていて彼らの中国語はかなり聞き取りにくいしこちらが言っていることもわかるのにちょっと時間がかかるとのこと。自分たちの生まれ育った町で自分たちの言葉(ウイグル語)じゃなくて隣の民族の言葉を話すもの不便な世界だなとは思いますがこれが現実みたいです。

 

まあそんなわけでウルムチ南駅に到着。ここは新疆ウイグル自治区の中でも漢民族のひとたちがいる割合が高いため、そこまで監視はきつくないみたいですけど実際はどうなんでしょう。とりあえず今は、お世話になっていたベトナム人もいないので中国語で「私は旅行者です。ウルムチには1日滞在します。中国の携帯番号は*******です。」と翻訳アプリに打ち込んで見せる準備をしておきました。ちなみにグーグル翻訳にウイグル語はありませんので何か伝えるとしたらやっぱり中国語しかありません。文章にしたらもちろんウイグル人も読んでくれます。

駅を出るのにやっぱり行列が出来ていて、私も行列を全員抜かしさっさと先頭に踊りでて、自分外国人ですと言うと別の場所に連れていかれます。パスポートをチェックされるので先ほどの画面を見せると色々と紙に書き込まれ、旅行ですか?とそれだけ聞かれたのでそうです。と答えるとそれだけでOKでした。日本のパスポートを見たとたんに「コンニチワ」と2人の公安が言ってきたので、好意的な人たちでラッキーでした。パスポート返却されたのでラフメット~というとにこーっとしておりました。また金属探知機を通った先にすんごいむすっとした魔女みたいなおばちゃんがいて、出口はあっちとぶっきらぼうに教えてくれたのでこれもラフメット~というと、数秒後に目を見開き、口を両手で抑え、外国人がウイグル語しゃべった!!と言わんばかりに同僚の女性と爆笑しておりました。もしかしてこの人たちちょろいのでは?とちょっと思いつつ、まあ微笑まれたというより笑われた感覚なので(悪意はなかったと思いたいけど)そそくさと逃げるようにしてその場を去りましたがやっぱり現地語でのコミュニケーションって大事ですね。魔女の表情の変化はすごかったです。今度は漢民族にラフメットと言わないように気をつけなきゃ…。でも本当にウイグル人みんな、ラフメットというと喜んでくれたりウイグル語知ってるんだ!というリアクションをするのでなんだか可愛いです。みんな謝謝ばっかり言われてるんだろうなきっと。

 

無事に駅を脱出して、宿まではなんらかの交通機関1本で15分くらいだったのですが、地図アプリによるとBRTという乗り物だそうで。名前的にもしかして地下鉄?と思っていたんですがバスでした。ちょっと高級感のある長いバス。BRTに乗るのにも荷物を検査機に通し、改札が2台あるけど券売機があるわけでもないし、ICって書いてあるけどICカードなんて持ってないし…と後ろを振り返ってみるも荷物検査のお姉さんは誰かと電話をしていて聞けないしこんなときに周りに人もいません。まあダメもとで、で改札を通ってみるとブザーもならず通れちゃいました。バスを待っていると4-5人現地の人がきてみんな改札を素通りしていたのでなーんだこれでよかったのね、と一安心。

立派なバスがやってきたので手に1元札を握りしめて、乗り込んでみると料金箱がありません。バスの真ん中のドアから入ったんですが、運転手の横にもない。バスはそのまま進み、次のバスストップで周りを観察するも乗り込んでくる人たちはだれもお金を払っていません。え?これまさかの無料の乗り物?それとも降りてから払うとかいう斬新なパターン?

結局1元札を握りしめたままホテルの最寄りで降り、そしてBRTに乗るためにバスストップに入ってくる人たちはICカードの改札の横に備え付けられた小さな箱に1元を放りこんでいくのを私は見てしまいました。

終わった…この監視社会ウルムチで無賃乗車をしでかしてしまった。たった1元、16円を払い損ねたせいで私はこれからきっと公安に捕まるんだ…少なくとも神様は見ていなくても絶対に監視カメラは真実を見ている…と心のを底から怯え、とりあえず足早に宿へ。ていうかなんの監視システムだよ、暴動なんかより無賃乗車とかする阿呆を取り締まれよと謎の悪態をつきながら、ちょっとわかりにくいと言われている宿のビルとその入り口を一発で探しあて逃げ込みました。明日乗るとき2元払えばいいよねと心を落ち着かせ、チェックインするとあまりの部屋に衝撃を受けました。

まず「ごめん最近ウルムチは天気が悪くて…」と湿ったシーツを渡され、ぽかんとしていると「誤解しないでほしいのはこれは雨でぬれたんじゃなくて本当に洗濯が乾かなかっただけだから」と謎の弁明を受け、そして案内された部屋に入るとおトイレが見えました。

まあ意味わかんないと思いますけど。このお宿は部屋に1つトイレとシャワーがある作りになっていて、入ると左手にベッドが並び正面にバスルームが見えるという感じです。ただバスルーム、ドアがなくって仕切りはシャワーカーテン。部屋とバスルームの仕切りは曇りガラスで、そのガラスには模様が描かれていて、模様の部分は普通のガラスなので模様から中の人がトイレしてるのが普通に見えるんですね。

私はたまたまバスルーム近くのベッドの上段だったので、上からトイレしているひとが拝める構造です。以下、私のベッドから見える景色。

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監視社会ウルムチ、なんかすごいな。こんな感じでシャワーもたぶんおしりがぺろんと見える状態なんですが、まあ我々日本人としてはシャワーよりもトイレ見られるほうがなんか嫌な感じがします。ちなみに私の下段の人は、正面からトイレしている人を拝めるってことですね。ふーん。

 

というわけで気を取り直して観光へ。

まずは新疆博物館、に向かっているときにあった日本食屋です。

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屋形船に「ラーメン」と書いてあったのでラーメン屋だあ!と興奮しちょっと入ろうか悩みましたが店名がSASHIMIだったので寿司屋だと思います。ちなみに店内の提灯には「さしみ」「あぶり」「まきもの」「にぎる」と書かれていました。にぎる?

 

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こちらも無料ですがトルファン博物館に負けず劣らず、というか規模でいったらこっちのほうが大きいかと思います。

 

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入ったらこの方がお出迎えしてくれます。

 

中身はといいますと、ウイグル人の調度品の展示があったり、あとは日中合同隊が発掘した遺跡の出土品であったり様々。今回の驚きの品はこちら。

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紀元前の子供服(冬物)だそうです。これ本当ですかね?下にはしっかり紀元前770-475年と書かれていたんですけど私の見間違い?翻訳ミス?現代の子が着てたっておかしくないような品だと思うんですが…。

 

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こういう女性の髪形だとかお化粧の手順なんかの展示もされていておもしろかったです。

あとはミイラの展示もかなり多かったです。乾いた大地なのでうまいことそのまま残ったんでしょう。どんな人だったのか顔がわかってしまうくらいしっかり保存されてました。写真を撮るのが躊躇われるくらいには原型とどめてたんじゃないかしら。

 

博物館を隅々まで見物して次は国際バザールへ。

バザールは大半が外ですが、雨がぽつぽつ降り始めそこまで長居は出来ず…ただトルファンで買ったドライフルーツが2~3倍の値段で売られていました。たくさん買い込んでおいて良かったです。

バザール内の店舗にはこれでもかと各店舗ごとに中国国旗が立てられていました。内部には広場がありそこでウイグル人?だと思われる人たちが老若男女踊っていたので見物させてもらいましたが奥に盾を持った公安2人が踊っている様子を監視していてなんだかなあと…。せっかく楽しく見てたんだけど。

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この後はそそくさと宿に戻りまして、私を追いかけるようにウルムチにやってきたベトナム人と宿で少しお喋りして寝ました。

新疆ウイグル自治区、本当に宿少ないのでルートが同じであれば外国人同士はしょっちゅう顔合わせることになりますよ。