距離と時間の感覚が壊れた旅人たち

夜行列車明けの丸1日観光はかなり疲れたみたいでぐっすり眠るも、8つあるベッドはすべて埋まっていて、そのうち6人がチェックアウトするみたいで静かに動いてくれていたけれどどうしても起きてしまいました。中国人にしては静かに荷物まとめているなと思っていたら、どうやら台湾人6人組みたいでした。6人でこんな遠いところまで旅行に来たなんてすごいなと思いながら二度寝

 

ゆっくり起きて、トイレットペーパーがないのでスーパーへお買い物へ。ベトナム人も買うものがあるというので一緒に商店に行くも、お互い目当てのものがなかったので10分ほど歩いて大型スーパーへ。朝10時なのにかなり暑くて汗だくになりました。

朝10時のトルファンは全然人がいなくてとても静か。車は走っているんだけど、外に人がいないんです。本当にここは中国かしら?という感じで、、うーん、不気味。スーパーに着くと身分証チェック。ベトナム人はパスポートを持ってきていなかったけれど、私がパスポートを差し出すとウイグル人公安はなにこれ?と不思議そうに表紙を眺めていて、もう一人の公安がそれパスポートだろ!というと、え?これがパスポートなの!となんだか楽しそうにまたペラペラとめくっていた。結局顔写真のページも私の顔も見ることもなく行っていいよ~とのこと。一体なんのためにこれはあるんだろう…。

 

スーパーでばら売りのトイレットペーパーを発見し、ベトナム人もお目当てのものがあったみたいで2人で仲良く帰宅。近くに無料で行ける博物館があるそうなので夕方涼しくなったらそこに行こうという話になってとりあえず宿で解散。

トルファンの宿ではたくさんの外国人旅行者に会いました。中国は本当に外国人がいないし、各宿で会って1人とかだったけどここにはたくさん。新疆ウイグル自治区は中国人にとっては大自然にあふれる立派な観光地だからホテル自体はきっと少なくないのだろうけど、外国人が泊まれる宿はかなり少なく、そのなかでバックパッカーが泊まれる予算の宿となると本当に少ない。現にトルファンで私が泊まれる宿はここ1つしかなかったですもの。

というわけで部屋にいたポーランド人女性と色々話していると、彼女はどうやら中央アジアから来たみたいで色々と情報を教えてくれました。今後超えることになるであろう中国ーキルギス国境のことを丁寧に教えてくれたり、イランがとても良い国だということ、1年2か月も旅しているのに実はそのうち11か月はヨーロッパにいました、とか。なんだか今まで会った欧米人の女性とは違った雰囲気で、おっとりした人だったけど楽しかった国のことを話しているときは目がいきいきしていました。治安とか大丈夫?と聞いてみたら、私だって女一人で旅してたのよ!何も不安なことはないからあなたも楽しんでおいで!と思い切り背中を押される。私と話し終わったあとその人は、このスイカ私一人ではかなり大きいのでみんな食べるの手伝ってくれませんか?とまだいた台湾人6人組にペコペコしていた。面白い人。

 

その後は一人で近くまでおでかけ。美味しそうにパンを焼く人が。

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なんだか裁縫道具の針を刺しておくあれのデカいバージョンみたいなのの上にパンの生地を貼り付け、それをかまどに貼り付けて焼いていました。貼り付けたと思ったら壁の穴から次のパン生地がポンと飛んできてまたかまどに貼り付けて、今度は棒で中のナンをとって横にある台にナンを投げ飛ばして…の繰り返し。ナンは大きすぎるので小さなパンが袋詰めになったものを購入。あまりにも暑かったので宿に帰ってそのパンを食べると宿の犬が寄ってきて、よだれで私のズボンがべちゃべちゃになりました。でも我慢して良い子。

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宿の本棚から見つけ出したカズオ・イシグロ遠い山なみの光』と持っていた角田光代『いつも旅のなか』を交換してからぼーっとしていたらポーランド人がふらっと現れました。今日チェックアウトして出かけると言っていたけど…何時に出るの?と聞いてみたら15時に出る、というのでどこ行くの?と聞くと北京に行くとのこと。ぞっとしながら、それってどれくらいかかる?と言うと死んだ目をしながら36時間と。なぜ飛行機を選ばなかったんだろう。わかりますけどね、そのロマンは。でも経由地はなかったんでしょうか。どうかご無事で…と安全を祈ってお別れ。

 

ようやく涼しくなった頃にやっとこさベトナム人が出てきてくれたので博物館へ。中はトルファンの町近郊から出土されたものの展示だったりシルクロードの歴史であったり無料にしては結構見るものが多い博物館でした。そして何より!

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化石!全部本物だそうです。これあごの骨とかどうなってるんでしょうか。まったく想像がつきません。別にいろんなところのものを見てるとかそういうわけではないですが、化石はなんだかロマンがあって大好きです。そいうえば、帰国したらむかわ竜も見にいかなくちゃ。

 

あと何か忘れてしまいましたが、展示品ではこれが一番好きです。昔の人がつくるこういうものって、何か必ず意味があるんだろうけどなんだか遊び心というかただの暇つぶしに見えてよかった。

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これ。

 

博物館の後はバザールへ。今後長距離移動が続くことが予想されるので、トルファン名物?でもあるドライフルーツを買いに行きました。と言うか本当はぶどうが食べたかったんですけど今はシーズンまでまだ早いので売ってないのです。だからせめて乾きものだけでも…ということで3種類たぶん合計1㎏ぶんくらい買いました。午前中買ったパンもかなり水分がなくぱさぱさしているもので日持ちすると思うのでもう万全です。

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歩いて宿まで帰宅。宿近くにあった建物。何屋さんでしょう…。

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帰宅すると今度はドイツ人男性がいたので、ベトナム人と3人で夜ご飯を食べにナイトマーケットへ行くことに。タクシーで一人3元くらいの距離です。ナイトマーケットに入るのにも身分証チェック、入ってからもたぶんドイツ人が目立ったので、ドイツ人だけ公安に話しかけられ色々質問されていました。ベトナム人は中国語が話せて中国人にも間違われていたし、私は口さえ開かなければ中国人なのでお咎めなし。見た目で紛れているけど、目立つと道(というかマーケット)を歩いてるだけでも声かけられるなんて怖すぎる…。

ナイトマーケットは今まで見たどの町のものより盛り上がってませんでした。

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でもお店にいるウイグル人たちは楽しそうだし、それこそドイツ人を見かけると一緒に写真撮ってよ!とお願いして無邪気に笑っていたり、この平和にみえる小さな町にそこまでの警備体制が本当に必要なのか…うーん…。

ちなみにですが、トルファンの宿泊した宿では門をくぐると金属探知機があって、すぐ横にある台にはヘルメットと盾(機動隊員がもつようなやつ)、角材が置いてありました。角材ってあんた。タクシーはすべて運転手と乗客の間には鉄格子がついてました。

 

宿に戻ると宿の門の外にスタッフもゲストもみんな出ていて、何してるのかと思うとあるゲストの髪を切っていたみたいです。私もお願いしようかなと思ったけれど、手にはハサミじゃなくてバリカンを持っていたのでやめておきました。しばらく髪を切るのを見物していると宿のオーナーが話しかけてきて、私が出かけてる間に私のことを探していた人がいたわよ、とのこと。中国の果てのこの小さな町で私のことを探す人間なんて怪しすぎる、と思いましたがどうやら敦煌で同じ宿だったお調子者香港人だったみたいです。彼女もここに宿泊する予定だけど今は晩御飯に出かけたからあとで会えると思うよ、とわざわざ宿の人が教えてくれました。やっぱりみんなここに来るんだ。

 

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宿の共有部。ぶどうが日陰になっていて涼しい。2匹のゴールデンレトリバーがよだれをたらしながら歩き回る光景もとても良かった。

 

その後はまたベトナム人とドイツ人とお喋りをしてました。ドイツ人は中国西の果て、カシュガルから来たようでカシュガルの宿に行けば中央アジアに抜ける外国人バックパッカーが多いから仲間を見つけられるよとアドバイスをもらい一安心。ベトナム人も私と同様これからウルムチを経てカシュガルに行く模様で、その後どうしよう…上海に帰りたいんだけど電車で帰るか…と行って電車を検索するとウルムチー上海は70時間以上かかるそうで腰を抜かしてました。それでも飛行機よりかは安いそうで、電車で帰ると小さくつぶやいてました。みんな強すぎないかい?なんだか70時間以上と聞くと北京までの36時間が楽勝に聞こえてしまうのが不思議です。

中国を旅するとみんな距離と時間の感覚が麻痺し、レベルアップしていく現象が起きるのかもしれません。私は小刻みで来て本当に良かったです。

 

部屋に戻り翌日早朝チェックアウトの準備をしていると、部屋の女の子に話しかけられ色々話していると日本人の女の子で、たまたま私と同じ日に同じ電車でカシュガルに向かい、同じ日にカシュガルからキルギスへ抜けるという子でした。早速仲間が見つかった!後日詳細を書こうと思いますが、中国ーキルギス国境はちょっとめんどくさくて仲間を見つけたほうが楽なのです、金銭的に。やっぱり泊まる宿も一緒みたいで、また再会を約束して翌日に備えて寝ました。あれ、そういえば香港人帰ってこなかった…。

 

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6月19日現在、無事中国を出国しております。GoogleやLINEが普通に繋がる日常に感激です。中国にいたら怖くてネットに書き込めなかったこと、ぼちぼちブログに投稿していこうと思いますのでしばしお待ちを。