出国ミッション1日目@トルクメンバシ

朝起きたらカスピ海が見えていました。

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そういえば…

昨日の日記ですっかり書き忘れていましたが、車内でライアンに再会しました。出発直後に突然ライアンが私たちのコンパートメントにやってきたのです。私たちが乗車するところをちょうど目撃して車両番号だけ覚えてたみたいです。

入国初日は穏やかだったライアン、なんだか別人のように興奮していてそのわけは大変ストレスの溜まる滞在だったようです。どうやら私たちに優しくしてくれた彼のガイドはライアンにとってはそうではなかったようで、一瞬たりとも単独行動を許されず通貨ももちろん闇両替所には連れて行ってもらえなかったそうです。当たり前なのかもしれないけど。

初日に一緒に入ったレストランで20マナトの昼食を頼んだとき、ライアン1人だけ「この国は高すぎる…」と震えていたのです。20マナトは私たちにとっては1$ちょっとですが、公定レートで両替させられていたライアンにとっては約6$の高級ランチで、坊主と(ライアンもしかして闇レートのこと知らないのかな?)と話していたんですが、ガイドのいたその場で聞くのも気まずかったのでダルバサに向かう前のスーパーでこっそり闇レート知ってる?と聞いたところライアンももちろんその存在は知っているけどガイドがそのレートで両替することを許してくれないと嘆いていました。アシガバードでは自分も闇両替するからそれまでは我慢する…と言っていたのですが結局アシガバードでもガイドに見張られ闇両替は出来なかったそうです。しかもアシガバード市内でガイドが連れて行ったスーパーはオレオが60マナトだとかコーラが30マナトだとか、どこにそんなスーパーあるの?と私たちが聞きたくなるような法外な値段で物が売ってたそうです。外食にもずっと着いてくるようで「ひとりがいい!」と夜食だけはなんとか一人でとったそうですが観光もろくにせずふて寝していたそうです。

鉄道で私たちを見つけたときも、ガイドが「俺も一緒にいく」と言ったそうですが、振り切ってここにきたそうです。まあ話してた5分後に「やあライアン戻ってこないから心配したよ」とガイドがニコニコしながら私たちのところに来たんですけどね。恐ろしいな…なんだか漫画の20世紀少年を思い出しました。この国は私たちが思ってる以上にヤバい国だったのかもしれません。

ガイドを雇ってはいるもののライアンも私たちと同じバックパッカーで、なんだか可哀想でした…。

 

と、昨日の話はここまでにしてようやくトルクメンバシに到着です。ここトルクメンバシフェリーターミナルからアゼルバイジャン・バクーへ向かうフェリーが出ています。

 

電車を降りて早速腹ごしらえです。「また明日の朝ね」と言って別れたライアンには結局駅で会うことはありませんでした…。

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駅前にあった食堂でパスタを。美味しかったです。ウズベキスタンではこんな選択肢なかった…。次の国の終盤でもこんなにぶつぶつ言ってるので私のウズベキスタンへの恨みは相当深いようです。

 

フェリーターミナルへはバスで。鉄道の車窓で、フェリーターミナルを通過したことは確認したのでそっち方面のバスを見つけます。直行便はないようなので適当に幹線道路で降ろされました。バスに乗り合わせた優しい現地のおじさんが、「ここで降りるんだ。ここ。…ここ!バス!とまってええええ!」と必死に運転手に止まるよう訴えてくれました。感謝感謝。

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幹線道路に降りてから線路を超え、コンテナやえらく立派な建物を横目に結構歩いて11時半ごろ、フェリーターミナルへ到着しました。

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入ってみたら空調が効いていて中は真っ白で綺麗、わりと最近できたターミナルみたいです。と、見覚えのある坊主…と思ったらヒヴァで会ったTさんに再会しました。彼は私たちより1日早くトルクメニスタンに入ると言っていましたが、ここで会ったということは…フェリーは昨日の朝から1便も来てないそうです。

ここからバクーへ向かう船は1日1便、トルクメニスタン船籍とアゼルバイジャン船籍あるそうですがとりあえず1日1便です。スケジュール的には。ただなんででしょうね、不定期らしいんですよね。お前何言ってんだって、私もよくわかりませんけど1日1便のはずが不定期らしいですよ。で、昨日は来なかったと。そして次の便はいつくるかわからんと。

Tさんは昨日1日でフェリーターミナルのみなさんとすっかり仲良くなったそうで、同じく数日前から?待機してるみなさんに「日本人が増えた~!」と歓迎してもらえました。

 

ターミナルの外にはレストランもあるそうで荷物を置いて早速暇なので覗きに行きました。どんなもんか覗くだけのはずが、さっきターミナルにいたおばあちゃんが一人でお茶をしていて、あんたも飲みなさい!とお誘いしてくれました。シュガーを入れなさいと言うのでおばあちゃんが頷くまでシュガーを入れたら角砂糖7つ入りました。お茶というより砂糖水を飲んでるみたい。

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12時半になると暇を持て余した坊主がやってきて、優しいおばあちゃんが坊主にもお茶を。そして「あとは二人で楽しんでね」とフェリーターミナルに戻って行ってしまい、結局坊主と二人でお茶をしました。

 

その後Tさんや現地人の兄ちゃんもやってきてみんなでワイワイお喋りしながら13時半まで過ごしました。どうやらTさんがターミナルに着いた日には他の日本人の方がいたそうで、その人は昨夜ターミナルの2階に収容されていったようです。

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トルクメニスタンのビザは5日間。Tさんは今日で5日目、我々は4日目。ビザが切れるとなると船の有無に関わらず2階に連行されるそうです。そして2階には何があるかわからないし、実際吹き抜けになっているのですが彼は2階からまったく姿を現さないから生きているかわからない、というのです。なんのホラー映画のあらすじだ?もちろん生きてないわけないのですが売店どころか飲み水だってあるかわからないのです。実際1階にも受付と両替所(という名で両替は出来ないただのポストカード売り場)とトイレくらいです。「カフェ」みたいな名前のスペースもありましたが営業はしていない。真っ暗です。だから我々が食料を得るのにはこの建物から出て隣の建物のレストランに行くしかないのです。

 

ターミナルに戻り、またみんなでお喋りです。やることがない。

15時から1時間ほど昼寝をしました。起きたら「今夜20時にフェリーが来る」と噂が流れてました。でも昨日の夜には今日の14時にフェリーが来ると言う噂があったそうなのであてにはなりません。ちなみにアゼルバイジャンの船が12時間で100$、トルクメニスタンの船が20時間60$でこっちの船のほうが大幅な遅延が多いらしいです。もうこのさいどっちもどっちだと思うのですが。

 

17時半頃、レストランへ夜ご飯です。

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スープにパンを浸して食べたのですが、パンが余ったので紙に包んで保管しておくことに。15マナト残してお菓子やら飲み物を買いました。ちなみにこのレストラン、飲み物はいろんな種類売ってますが水は取り扱ってないという恐ろしい店です。

 

ペプシは1口しか飲んでないけどこの量。この手の飲料はボトリングは各国でやるそうです。すごい少なかったから、納得。

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20時過ぎ、暇です。芋ほりの名を返上すべく、お茶をごちそうしてくれたおばあちゃんが暇そうに歩いていたのでスカーフの巻き方を教えてもらいました。なんだかジブリに出てきそうな可愛らしいおばあちゃんでした。

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この様子を現地人たちが遠くからずっと見ていて変な汗をかきました。女性陣はこっちをみてニコニコしながらグー!とやってくれました。

 

ターミナル内にある数少ない暇つぶしアイテム『フェリーターミナルのミニチュア』

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それを見る坊主たち

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夕方一度、2階に収容された日本人の方が警備員と共に外に出てきました。生きてたんです。出てきて、そのまま建物の外に連れていかれて数十分後に戻ってきたのでたぶんお願いしてレストランに連れて行ってもらってたんだと思います。死にそうになったらお願いしたらいいんですね。良かった。野垂れ死ぬことはなさそうです。

 

ちなみにこのフェリーターミナル、ATMが一応ありますがお金は入っておりません。なのでこのお金を使い切ったらもう終わりです。やっぱり野垂れ死ぬかもしれません。

といっても、Tさん曰く待ってるみなさん優しいのでチャイとか食べ物とかどんどん分けてくれるよとのことでした。餓死することはなさそうだけど、できることならあまり頼りたくないのが本音でもあります。

 

22時前、ついにTさんが2階への入り口に吸い込まれていきました。あのおばあちゃんも何故か一緒に。おばあちゃんは現地人かと思ってたんですが、アゼルバイジャン人だったんでしょうか。確かに他の現地人は家族なのか3~4人で一緒になってお喋りしてるけどおばあちゃんはいつも一人でした。おばあちゃんもビザの期限だったのかな。

Tさんは「2階から顔出せそうだったら出してみるわ!じゃあまたフェリーで!」といって去っていきましたが、彼が顔を出すことはなくそのまま夜は更けていきました…。